融通念佛宗は平安時代の後期、永久五年(1127年)、良忍上人によって開かれました。その良忍上人の念佛はどのようなものであったのでしょうか。
「融通念佛は一人(いちにん)の行をもって衆人の行とし、衆人(しゅにん)の行をもって一人の行とするが故に、功徳も拡大なり、往生も順次なるべし。一人往生をとげば衆人も往生をとげむことうたがひあるべからず。」
融通念佛は一人(自)の念佛と一切の人々(他)の念佛とが一体となって、自他の区別はなくなり相即相入(そうそくそうにゅう)となる。念佛が相即融通するから、それを称える人もまた相互に融通する。つまり、私という個と他の一切の人とが融け合い、一は一切を生かし、一切は一を融合し大きな力になるのです。
そして、「今、ここが極楽」
念佛を称えて極楽浄土を願うのではなく、今、ここを極楽浄土に転じていくのです。極楽往生は死後に叶うのではなく、この心に目覚めたなら、今、ここが極楽であるのです。